農場概要

帰農志塾とは

近年農業後継者が減少する一方、都市生活・企業社会・文明の進歩などに疑問を持ち、田舎暮らし志向や農業志願者が増加している。これらの人達の中に は、近未来的に予測される多くの問題解決の糸口が含まれている。

即ち、人間も自然の一員として等身大に生きていかなければ、地球環境は益々悪化し、多く の生き物だけでなく、人類の生存基盤も危ぶまれてくるであろう。

これらの問題を直視し、一人の人間として農村の中で実践する人や、海外において協力活動を 行おうと考えている人達を育てる場である。

農園規模

山に囲まれた8haの農地に、80余種類の野菜・米・鶏(平飼い900羽)を飼い、有機農業を実践、150世帯の会員と直接提携を行う一方、自然食品店やデパートにも出荷している。農産加工・庭先果樹、あらゆる研修が可能な農園である。

野菜の栽培方法

農薬や化学肥料(化学合成物質)に頼らず作物の持つ生命力をいかにひき出し、健やかに生育する栽培環境を整え、種やその作物本来の生命力を引き出す栽培方法を行っている。

具体的には…

  1. 堆肥、緑肥による土作り
  2. 旬の作物を栽培する
  3. 少肥栽培・・・作物が生育するギリギリの施肥
  4. 輪作により土壌の微生物の偏りをなくす
  5. 収量を求めるのではなく、味や栄養価を重視
  6. 品種の選定と自家採種の努力
    多品種の比較栽培により農場にあった品種を探すと同時に作り出す。
  7. リビングマルチ(通路に小麦等を播く)や、バンカープランツ(障壁作物)、コンパニオンプランツ(共栄作物)等を利用し、生物相の多様性を考慮した天敵等の活用
  8. 深耕等、土壌の物理性、化学性、生物性を高めると同時に土壌改善

以上の方法により、おいしくて栄養価が高く、安心して食べられる野菜が生産されています。

会員とのかかわり(生産者と消費者の提携)

農場で生産された有機農産物の多くは野菜会員の方に食べていただいています。お互いに顔の見える関係で信頼関係を大切にし、生産者と消費者の提携という考えで結びついています。古い会員の方とは三十年余りの付き合いがあります。60歳を過ぎた多くの会員の方もいますが会員の方が大病をしたという話はほとんど聞いたことがありません。

1995年に農場を烏山に移転した際、宇都宮の若い会員の方も塾の野菜を食べるようになりました。その二、三年後子供の医療費が減ったという嬉しい声が多くの会員の方から聞かれました。子供たちにも有機で育った食べ物を食べてもらう為、現在4つの保育園と1つの小学校でも給食等に利用していただいております。

5月に新緑の集い、11月には収穫祭と多くの会員が集まり一緒に収穫をして食事楽しみます。

連絡先・アクセス

所在地 〒321-0604 栃木県那須烏山市中山1041
TEL 0287-83-0930(11:00~13:00と18:00~20:00)
※農作業の都合上この時間に御連絡下さい。
FAX 0287-83-0930

放射能分析結果

2012年の7月15日のサンプリング調査以来、野菜の放射能数値は検出限界以下という結果になっています。それ以後野菜には放射能はほとんど含まれていないと考え検査はしておりません。ただキノコはチェルノブイリで「キノコ、ベリー類はないものと思え」と言われるくらい汚染されやすいもの。塾でも露地で栽培する原木栽培ではなめこ、しいたけ共に検出されました。キノコ類の栽培は停止しています。

これからも安全はもちろんのこと、皆さんが安心して食べていけるよう努力していく所存です。
何か疑問に思う点、要望やご意見などありましたら遠慮なくご連絡ください。

以下の検査結果は2011年4月から2012年12月10日のものです。

4/11サンプリング結果

種類 核種 放射能濃度 合計放射能濃度
Bq/Kg Bq/Kg
春播きほうれん草 ヨウ素131 19 19
セシウム134 32 68
セシウム137 36
秋播きほうれん草 ヨウ素131 36 36
セシウム134 45 85
セシウム137 40
カブ ヨウ素131 27 27
セシウム134 18 32
セシウム137 14
菜の花 セシウム134 30 59
セシウム137 29
ネギ セシウム134 10 10
サツマ芋 検出されず
里芋 検出されず
ゴボウ 検出されず
大根 検出されず
白菜 検出されず
土壌 ヨウ素131 21 21
セシウム134 16 31
セシウム137 15

基準値は放射性ヨウ素131 2,000Bq/Kg、放射性セシウム134,137 500Bq/Kg、秋播きほうれん草は出荷停止したものです。

地震後に起きた福島原子力発電の爆発以来、葉物野菜の出荷をどうするべきか苦慮する日々が続きました。栃木県ではほうれん草、かき菜が基準地オーバーで出荷規制になり、私達も即ほうれん草の出荷を停止すると同時に、他の葉物類は2度の水洗いを励行し、出荷する野菜については徹底した考えの下行ってきました。(雨の降る予報の日は前日収穫するなど)

同時に病院関係、保育園及び小さい子供のいる家庭などにも出荷を停止してきました。

7/15サンプリング結果

種類 核種 放射能濃度 合計放射能濃度
Bq/Kg Bq/Kg
いんげん ヨウ素-131 検出限界以下 検出限界以下
セシウム-134 検出限界以下
セシウム-137 検出限界以下
なす ヨウ素-131 検出限界以下 検出限界以下
セシウム-134 検出限界以下
セシウム-137 検出限界以下
トマト ヨウ素-131 検出限界以下 検出限界以下
セシウム-134 検出限界以下
セシウム-137 検出限界以下
きゅうり ヨウ素-131 検出限界以下 検出限界以下
セシウム-134 検出限界以下
セシウム-137 検出限界以下
ピーマン ヨウ素-131 検出限界以下 検出限界以下
セシウム-134 検出限界以下
セシウム-137 検出限界以下
とうもろこし ヨウ素-131 検出限界以下 検出限界以下
セシウム-134 検出限界以下
セシウム-137 検出限界以下
キャベツ ヨウ素-131 検出限界以下 検出限界以下
セシウム-134 検出限界以下
セシウム-137 検出限界以下
玉ねぎ ヨウ素-131 検出限界以下 検出限界以下
セシウム-134 検出限界以下
セシウム-137 検出限界以下
ジャガイモ ヨウ素-131 検出限界以下 検出限界以下
セシウム-134 検出限界以下
セシウム-137 検出限界以下
人参 ヨウ素-131 検出限界以下 検出限界以下
セシウム-134 検出限界以下
セシウム-137 検出限界以下
ネギ ヨウ素-131 検出限界以下 検出限界以下
セシウム-134 検出限界以下
セシウム-137 検出限界以下
マヨネーズ ヨウ素-131 検出限界以下 検出限界以下
セシウム-134 検出限界以下
セシウム-137 検出限界以下
うどん ヨウ素-131 検出限界以下 検出限界以下
セシウム-134 検出限界以下
セシウム-137 検出限界以下

検出限界以下はヨウ素-131は1Bq/Kg、セシウム-134は2Bq/Kg、セシウム-137は2Bq/Kgである。

7月15日の出荷野菜等を再度検査した結果、塾の今の野菜は全て放射能が検出されませんでした。
少しは一部の野菜にまだ含まれているのかと想像していましたが、全く検出されなかったことに安堵しています。

10/3サンプリング結果

キノコから高い数値が検出されたという情報を得て、私達も急遽検査機関に依頼した。
裏山で走りキノコができ始まっており、また今年もおいしいキノコが食べられると喜んでいた矢先だった。

種類 核種 放射能濃度 合計放射能濃度
Bq/Kg Bq/Kg
しいたけ ヨウ素-131 検出限界以下 195
セシウム-134 66
セシウム-137 129
小麦 ヨウ素-131 検出限界以下 検出限界以下
セシウム-134 検出限界以下
セシウム-137 検出限界以下
玄米 ヨウ素-131 検出限界以下 検出限界以下
セシウム-134 検出限界以下
セシウム-137 検出限界以下

検出限界以下はヨウ素-131は1Bq/Kg、セシウム-134は2Bq/Kg、セシウム-137は2Bq/Kgである。

その結果シイタケのセシウム含量が195ベクレルという結果であった。国の暫定基準(500Bq/Kg)は下回ってはいるが、有機農業の生産者・消費者の提携の原則や我々生産者の役割・使命という観点から考え、今年は全てのキノコの出荷を停止することを決意した。
幸い同時に送った玄米と小麦はセシウム検出限界以下という朗報も得た。米は常食、多量に毎日食べるものであるからなおさらだ。

12/10サンプリング結果

種類 核種 放射能濃度 合計放射能濃度
Bq/Kg Bq/Kg
小松菜 セシウム-134 検出限界以下 検出限界以下
セシウム-137 検出限界以下
ホウレン草 セシウム-134 検出限界以下 検出限界以下
セシウム-137 検出限界以下
大根(葉) セシウム-134 検出限界以下 検出限界以下
セシウム-137 検出限界以下
大根(根) セシウム-134 検出限界以下 検出限界以下
セシウム-137 検出限界以下
人参 セシウム-134 検出限界以下 検出限界以下
セシウム-137 検出限界以下
里芋 セシウム-134 検出限界以下 検出限界以下
セシウム-137 検出限界以下
さつま芋 セシウム-134 検出限界以下 検出限界以下
セシウム-137 検出限界以下
白菜 セシウム-134 検出限界以下 検出限界以下
セシウム-137 検出限界以下
キャベツ セシウム-134 検出限界以下 検出限界以下
セシウム-137 検出限界以下
大豆 セシウム-134 検出限界以下 検出限界以下
セシウム-137 検出限界以下
なめこ セシウム-134 17 60
セシウム-137 43
土壌 セシウム-134 18 60
セシウム-137 42
ボカシ肥 セシウム-134 34 112
セシウム-137 78
堆肥 セシウム-134 7 27
セシウム-137 20
くん炭 セシウム-134 11 40
セシウム-137 29
落ち葉 セシウム-134 89 320
セシウム-137 231

検出限界以下:セシウム-134、セシウム-137ともに2Bq/Kg
8種類の野菜については全て不検出です。安心してお食べ下さい。

土壌検査の結果から土壌汚染は非常に低く、今後野菜に残留することはないと判断しています。
また参考までに、栃木の水田土壌はセシウム134,137の上限値5,000Bq/Kgを全て下回り、ここ那須烏山市は182Bq/Kg(2012/4/8)で、県内でも非常に低い数値となっています。